35歳を過ぎた頃、ふと鏡を見た時に自分の前髪が以前よりも頼りなくなっていることに気づきました。お風呂上がりの排水口に溜まる抜け毛の数も、以前は10本程度だったのが、いつの間にか50本、100本と増えているような気がして、毎朝のセットが憂鬱で仕方がありませんでした。高価な育毛トニックを試してみましたが、頭皮が少しベタつくだけで目立った変化はなく、半ば諦めかけていた時に出会ったのが、栄養学に基づいたサプリメントの摂取という方法でした。最初は半信半疑でした。口から入れた栄養が本当に髪の毛まで届くのだろうかという疑念があったからです。しかし、調べていくうちに、自分の偏った食生活がいかに髪に悪影響を与えていたかを痛感しました。平日の昼食は決まってラーメンや牛丼で、夜は仕事の付き合いで飲酒が多く、髪の主成分であるタンパク質やビタミンが圧倒的に不足していたのです。そこで私は、自分の身体への「謝罪」の気持ちも込めて、亜鉛とマルチビタミン、そしてノコギリヤシエキスが含まれたサプリメントを飲み始めることにしました。1ヶ月目は何も変わりませんでした。2ヶ月目も、相変わらず抜け毛は気になりました。しかし、3ヶ月が経過した頃、洗顔をした時に手に触れる前髪の感触が、以前よりもしっかりとしているような不思議な感覚を覚えたのです。それは気のせいかと思いましたが、半年が過ぎる頃には、美容師さんから「最近、髪の毛にハリが出てきましたね」と言われ、私の確信に変わりました。サプリメントを飲むという毎日の小さな習慣が、自分の身体を内側から作り変えているという実感。それは単に髪が増えたという以上の、自分自身の健康をコントロールできているという大きな自信に繋がりました。今では、サプリメントを飲む時間は自分を労わる大切な儀式のようになっています。もちろん、これだけで10代の頃のようなフサフサに戻るわけではありませんが、進行を食い止めているという安心感が、私の日常を明るくしてくれました。薄毛という悩みは、どうしても孤独になりがちですが、自分の体質に合った栄養素を補うという前向きな行動が、心の健康も支えてくれているのだと感じます。これからも自分の髪と対話しながら、無理のない範囲でこの習慣を続けていくつもりです。