待望の赤ちゃんとの生活が始まり、幸せを噛みしめる一方で、多くのお母さんを驚かせるのが、産後3ヶ月から半年頃にピークを迎える激しい抜け毛の現象です。シャンプーをするたびに手に絡みつく大量の髪や、部屋の隅に溜まる抜け毛を見て、このまま髪がなくなってしまうのではないかと強い不安を感じる方は少なくありません。これは分娩後脱毛症と呼ばれ、妊娠中に高まっていた女性ホルモンの数値が出産を機に急激に低下することで、成長期を維持していた髪が一斉に休止期へと入ってしまうために起こります。いわば、抜けるべき時期を逃していた髪がまとめて抜けている状態であり、基本的には生理的な現象ですので過度に心配する必要はありません。しかし、育児による慢性的な睡眠不足や、授乳による栄養の流出、慣れない生活へのストレスなどが重なると、回復が遅れてしまうことがあります。この時期に大切なのは、自分を追い込みすぎず、身体の回復を最優先に考えることです。食事面では、母乳を通じて赤ちゃんに栄養を送るためにも、タンパク質や鉄分、カルシウムを意識的に摂取しましょう。特に鉄分が不足すると血流が悪くなり、頭皮まで栄養が届きにくくなるため、赤身の肉や魚、小松菜などを積極的に献立に取り入れる工夫が有効です。また、短時間でも質の良い睡眠を確保するために、家事の手を抜いたり、家族の助けを借りたりすることも立派なヘアケアの一環と言えます。髪型を思い切って短くすることで、抜け毛の重なりによる精神的なショックを軽減し、手入れの時間を短縮するのも1つの方法です。通常であれば産後1年程度で自然に元の毛量に戻ることが多いため、焦らずにその時期を待つ心の余裕を持ちましょう。もし1年以上経過しても改善の兆しが見えない場合や、局所的に地肌が露出する場合は、1人で悩まずに皮膚科や専門のクリニックに相談することをお勧めします。お母さんの笑顔が赤ちゃんの幸せに繋がるように、自分の身体を労わる時間を少しでも作ることで、心身ともに健やかな育児生活を送ることができるはずです。
出産後の抜け毛を乗り越えるための知恵